仕事を探している方が、新たにスキルや知識を習得できる国の制度です。
でも、具体的な内容まで知っている方は少ないのが現状です。
そこで今回はハローワークの職業訓練について
・費用はどのくらいかかる?
・どんなスキルや知識を習得できるのか?
・受講期間の目安はどのくらいか?
・申し込み手続きは?
・選考基準は?
・入学手続きは?
などについて具体的にご説明します。
その上で、職業訓練のメリット、デメリットをご紹介します。
今回の調査でわかったことは、ハローワークの職業訓練は時間とお金に余裕がないと受講することが難しいということです。
まず、受講スタートまではハローワークで相談、説明会、見学会、選考試験など9つものステップがあります。
簿記やIT系の講座は人気があり倍率が高いため、せっかく1ヶ月以上かけて入学までの準備を進めていても選考に落ちてしまう可能性もあります。
ただ、時間とお金に余裕があって受講できる環境であれば、ハローワークの職業訓練は手に職をつけられるのでぜひ活用したい制度です。
では、さっそく詳しい内容をご紹介します!
※この記事では厚生労働省のホームページの情報や埼玉県が実施しているハローワークの職業訓練を中心にご紹介します。
地方自治体でサービス内容等が多少異なりますが、基本的な仕組み・内容は同じです。
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目次
職業訓練校とは?
職業訓練とは、求職中の人向けに新たな仕事に就けるよう様々なスキル・知識を習得してもらうための国の就職サポート制度です。
職業訓練校は国や自治体が運営しており、利用者数は年間30万人。
新しい仕事を始めたい方、これから仕事を探そうという方に向けて多種多様なコースが用意されています。
職業訓練校の申込み等はハローワークで行い、講座自体はハローワークや委託先の専門学校・大学など様々です。
職業訓練の種類・学べる内容
では、ひとつひとつ見ていきましょう。
「失業保険を受給している求職者」を対象にした訓練・講座
🔶公共職業訓練(離職者訓練)
具体的な内容の方がイメージしやすいので、埼玉県のサイトに記載されている訓練内容をご紹介します。
・高等技術専門校で実施(訓練期間:3ヶ月〜1年)
ビル管理科、介護サービス科、機械科デュアルシステムの3種類
・委託訓練(訓練期間:2ヶ月〜2年)
介護初任者研修、簿記会計、IT事務、保育士養成の4種類
ものづくり分野の訓練を実施(訓練期間:6ヶ月)
溶接技術科、機械工作科、CAD・NC技術科、組み込みシステム開発科の4種類
「失業保険を受給していない求職者」を対象とした訓練・講座
🔶求職者支援訓練
失業保険を受給できない求職者の方が対象の無料の支援制度で、主に以下2つの支援があります。(テキスト代等は自己負担。)
・ハロートレーニング(求職者支援訓練)
・就職支援
では、ハロートレーニング(求職者支援訓練)の内容を具体的にご紹介します。
- 対象:ハローワークの求職者
- 訓練期間:3ヶ月~1年
- 主な訓練コース例
- 施設内訓練…テクニカルオペレーション科、電気設備技術科、住環境計画科 等
- 都道府県実施例
- 施設内訓練…自動車整備科、木工科、造園科 等
- 委託訓練…介護サービス科、情報処理科 等
※都道府県で講座の種類や内容は異なります。
🔶在職者訓練(キャリアアップ講習)
①中小企業に勤務する方が対象
業務に必要な専門知識や技能・技術のスキルアップための短期間集中型の訓練で有料です。
- 対象:中小企業に在職している方
- 訓練期間:2日~5日
- 訓練例:「電気工事科」「溶接科」「機械加工科」「機械製図科」「情報ビジネス科」等
- 受講料:1万円前後が最も多い
②在職者が対象
仕事に必要な知識・技能の向上や資格試験受験準備を支援するための短期間の講習で有料です。
- 対象:働いている人
- 訓練期間:1〜5回程度
- 訓練例:「パソコン系、CAD、簿記、介護、IT 、介護など多岐
- 受講料:2000〜3000円が最も多い
🔶学卒者訓練
学校卒業者の方が対象で、就職に必要なスキルや知識を習得するための訓練です。主に3つの課程に分かれています。
実施期間は1~2年間です。授業料は概ね年間39万円、入学金は約11〜16万円ほどかかります。
訓練科例: OA 事務科、機械加工科、自動車整備科、木造建築科
・専門課程(対象者:高校卒業者など)
訓練科例:生産技術科、電子情報技術科、電気エネルギー制御科
・応用課程(対象者:専門課程修了者)
訓練科例:生産機械システム技術科、建築施工システム技術科
職業訓練の入学対象・条件
職業訓練は、ハローワークで申し込みをすれば誰でも受講できる!というものではありません。
さらに、入校のための選考が実施されます。
選考方法は、書類選考・面接・筆記試験・適性検査などがありコースによっても異なります。
人気の講座は倍率が高くなり不合格になることもあります。また、定員に満たない場合でも訓練の対象ではないとみなされれば不合格になる場合もあります。
では、訓練別に入学対象・条件を詳しくご紹介します。
公共職業訓練(離職者訓練)
公共職業訓練は、以下の全ての条件を満たしていれば入学できます。
・現在、働いていない
・就職の意志がある
・ハローワークに求職の申込をしている
・職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めた方
求職者支援訓練、在職者訓練、学卒者訓練
求職者支援訓練、在職者訓練、学卒者訓練は、まずはじめに以下の全ての条件を満たす必要があります。
・職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めた方
・公的職業訓練の受講終了後1年以上経っている
🔶求職者支援訓練
・短時間就労や短期就労のみを希望せずフルタイムでのお仕事を探している方
・現在、週に20時間以上働いていない
・ハローワークに求職の申込をしている
・就職の意志がある
🔶在職者訓練(キャリアアップ講習)
・中小企業向けの講座は中小企業に在職している方
🔶学卒者訓練
・中学校、高校、専門課程の卒業者が対象
職業訓練校では、条件を満たせばお金をもらって受講ができる
職業訓練校では、給付金制度があります。返金は不要です。
最大月額10万円、交通費の支給などです。
以下7つの項目全てに当てはまる場合に給付金の対象となります。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円(年収300万円)以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいる所以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日に全て出席している(
やむを得ない理由がある場合でも、 支給申請の対象となる訓練期間の8割以上出席している) - 同世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がい
ない - 過去3年以内に、偽りその他の不正の行為により、
特定の給付金の支給をうけたことがない
さらに、失業保険を受給中はこの給付金をいただくことができません。
失業保険を全て受給して、そのあと上記条件全てに該当する場合のみ給付金をいただきながら職業訓練校を受講できます。
条件が複数あるため、該当者は少ないようです。
口コミでは、同じクラスにこの給付金の対象者は0人でした、という書き込みも見られました。
職業訓練校の申込み手順
講座を受講するまでには、全部で9つのステップがあります。
ステップ1:ハローワークで求職申込み・職業相談
まず、住所を管轄するハローワークで求職の申し込み手続きを行います。
職安求職申込書に、氏名や連絡先、職歴、資格、希望の職種、勤務地、給与、勤務形態、勤務条件などを細かく記載します。この情報を元に、後ほど相談員と相談を行います。
相談員に1対1で職業相談をし、訓練の制度についての説明を受けることが初めのステップになります。
雇用保険受給資格者証には、職業訓練の対象者であるか、失業保険の残り日数などを確認するための大事な書類です。
毎回ハローワークに必ず持参してください。
雇用保険受給資格者証がないと手続きができない場合もありますので注意が必要です。
ステップ2:訓練校とコースを選ぶ
ハローワークで職業相談を受けつつ、適切な訓練コースを選びます。
- 将来に向けて、自分のキャリア形成のために必要なスキル・知識を明確にする
- 職業訓練校の場所が通いやすい場所か
- 訓練期間、費用
ハローワークで関連のパンフレットをもらって内容を確認する他、都道府県のホームページで各講座のパンフレットのPDFデータなどがアップされている場合もあるので講座の詳細をチェックしてみてください。
すでに受講したい訓練が決まっている方は、ハローワークにてその旨を説明して申し込みから選考に至るまでの説明を受けてください。
まだ受講したい訓練が決まっていない方や迷っている方は、相談員に自分の希望の働き方などをお話ししてスキルアップができる訓練内容を詳しく聞いたりアドバイスを受けることができます。
訓練コースが決まったら受講申込書などの必要書類を受け取ります。
ステップ3:職業訓練校を見学・説明会に参加する(任意)
受講したいコースが決まった後は、職業訓練校の説明会に参加します。(※応募の前です)
説明会への参加は任意となっていることもありますが、実際の環境や授業の内容を確認できたり、人気の訓練では倍率が高くなるため少しでも選考に有利な状況になるためにも説明会に参加した方が良いでしょう。
説明会の日時は、管轄のハローワークで確認できます。
長い期間だからこそしっかり訓練内容を確認したり、交通面での通いやすさなども含めて検討してください。
また、短い期間の訓練であっても申込みから訓練を受けるまで手続きが多く時間も費やすため、本当に受けたい訓練なのかどうかを見極めた方が良いでしょう。
ステップ4:複数回の職業相談
受講したいコースを決める前後で、複数回の職業相談が必要です。
複数回の職業相談を受けることが、次のステップ「受講申込書の交付」の条件になるため余裕を持って相談をしてください。
ステップ5:受講申込書の交付
受講するコースが決まったら、ハローワークに出向きハローワークの受付印が押された 「受講申込書」の交付を受けます。
募集締切日までにハローワークで職業相談してください。
ステップ6:入学を申し込む
「受講申込書」の交付を受けた後は速やかに、訓練実施機関に電話連絡をします。
募集締切日までに必ず、ハローワークで受付印を押印してもらった「受講申込書」を提出します。
受付時間は、平日(祝日を除く)の8:30 から 17:15 まで
・郵送する場合
封筒に「講座番号○○○○入校願書在中」と赤色で記入する
なお、管轄のハローワークによっては郵送での申し込みを実施していない場合もありますのでご確認ください。
申し込みが完了すると「公共職業訓練合格後の手続きについてのマニュアル」を受け取ります。これは、合格後も参照することがあるので、大切に保管しておきましょう。
ステップ7:選考試験を受ける
申し込み後は、指定の選考日に試験を受けます。(埼玉県:4月開講の訓練の場合、3月初旬の平日に試験あり)
選考方法は、コースや訓練校により様々です。IT系、医療事務、簿記検定など人気があるコースでは倍率が2倍以上になることもあります。
その場合、基本的には応募者を絞るために選考試験が行われます。
- 書類選考
- 学力テスト(数学や国語)
- 適性検査
- IT系/WEB系ではシステム等の専門的な知識を問う問題
- 面接
面接では、志望動機や就職の意思・活動内容などを確認されることが多いので予め書き出してみたり整理しておくと良いでしょう。
選考の結果は、訓練実施機関から郵送で届きます。
(埼玉県の場合:4月開講の訓練講座の選考結果は3/18までに郵送で通知予定となっている)
ステップ8:入学手続きを済ませる
選考を通過したら、ハローワークへ行き「就職支援計画書」の 交付を受けます。
交付期限は訓練開始日の前日までとなっていることが多いようですが、この「就職支援計画書」がないと訓練を受講できませんので余裕を持って行きましょう。
また、手続きの際に「就職支援計画」の交付を受けます。この「就職支援計画」は公共職業訓練を受講後の再就職の斡旋を受けるための計画書ですので大事に保管してください。
ステップ9:入校説明会に参加
訓練を受ける前に、入校説明会に参加します。
入校説明会を欠席すると入校できません。万一欠席する場合は、必ず事前に連絡をしてください。
選考結果通知の郵送物の中に、この入校説明会の詳細や欠席時の連絡先等の記載がありますので必ず内容を確認しましょう。
職業訓練のメリット、デメリットは?
まず、ここまでの内容をまとめます。
・職業訓練校は失業保険の給付を受けている人、受けていない人、の大きく2通りある
・講座内容は専門性が高いものから事務職向けのものまで幅広い
・講座期間は数日から最長2年まである
・希望の講座を選んで選考試験を受け入校するまで9つの手続きがある(選考あり、誰でも受講できるわけではない)
次に、メリットとデメリットをご説明します。
職業訓練のメリット
・しっかり学べば手に職をつけられる
・失業保険の給付を受けている(無職)場合は、受講料が無料
・在職中でも受講できる講座があり受講料は数千円程度
在職中でも受講できる講座は1〜5回程度で受講料も数千円なので、希望のスキルアップ講座があればお得に短期間で受講できます。
職業訓練のデメリット
・手続きは平日のハローワーク等で行うため、在職者が申し込みをするのは難しい
・入校までの手続きが9工程もあり書類の提出・受取が煩雑で日数も要する
・申し込みまでに複数回の職業相談が必須だったり、選考試験では学力テストの対策や面接対策も必要
・人気のIT系や簿記検定などの事務系の講座は倍率が2倍以上。せっかく準備をすすめきても不合格で受講できない可能性がある
また、在職者向けの講座も充実していますが、申し込みや説明会など全て平日にハローワークに出向いて行う場合が多いため現実的に難しい人が多いです。
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